抜歯処置と宇宙飛行士

あけましておめでとうございます。
歯科医師の廣石です。

本年もどうぞよろしくお願い致します。
お正月はコロナ禍もあり、ずっと自宅で過ごしていました。
深夜、誰もいない街に響く除夜の鐘がなんとも物悲しく思え、早く日常が返ってこないものかと待ち遠しいものです。

 

お正月の特番を観るのもいいものですが、私自身映画が好きで、ずっと映画を観ていました。
特にSFものが好きで、最近のものだけでもインターステラー、オデッセイ、ゼログラビティなど名作がぞろっと名を連ね、
宇宙というブラックボックスを題材にすることが如何にクリエイターの創作意欲をくすぐるかがわかります。

まだ全てが解明されていないことを活かし、中には地域伝承や、その時代の世相やポリティカルな感性を織り交ぜた作品も見られたり、
人々の想像力を掻き立てる宇宙という題材は非常に創作において優れたものだと言えるでしょう。
お正月だけで5本はSF映画を観たかもしれません。

 

そうしてSF映画を観ていて思い出したお話ですが、
我々歯科医師が日常的に行う治療として、「抜歯」という治療法があります。

普段は「可能な限り抜かない」ことを念頭に歯科治療を行っていますが、
日々診療を行う中でどうしても抜歯せざるを得ない事態にもやはり遭遇してしまいます。
抜歯処置は歯科医師と一部の医師にのみ許可された専門的治療です。

ですが、医師・歯科医師以外にも抜歯手技の訓練を受ける職業があります。

それが宇宙飛行士です。

なぜ宇宙飛行士に抜歯手技が必要なのか?
それは、宇宙空間で歯が痛くなり、痛み止めの薬も効かなくなった場合に備えているそうです。

また、宇宙服の中は破裂しないよう減圧されており、宇宙飛行士は船外活動時減圧下で作業し、
宇宙服を脱いだあとは1気圧下の中に戻る、ということを繰り返すそうです。
この時にもし虫歯や治療不十分の歯があるとひどい歯痛が起こりやすいそうです。

無重力下で歯科治療を行おうとしてもばい菌に汚染された削った粉や水が飛び散って大変なことになりますし、
抜歯処置は致し方のないことといえるでしょう。

ちなみにですが、スペースシャトル「エンデバー号」に搭乗した日本人初の宇宙飛行士である毛利衛さんは、
虫歯の処置が不十分だったために選抜で不合格になった経験もあるそうです。

 

虫歯予防は誰にとっても大事なことですが、
将来宇宙飛行士を目指す方は特にしっかりとケアをして、できるだけ虫歯を作らないように頑張りましょう。

歯科医師 廣石勝也