歯科治療の麻酔について

皆さんこんにちは。歯科医師の高山です。
寒さも日毎に増します今日この頃、体調を崩されてはいないでしょうか。

さて、今日は一般的な歯科医院で治療の際に使用する《局所麻酔》に関して書いてみようと思います。
局所麻酔とは意識を消失することなく麻酔薬が作用している部位の痛みの感覚を一時的かつ可逆的に消失させるもので、歯科の局所麻酔を歴史的に見ると、1884年ハルステッドがコカインを用いて下歯槽神経の局所麻酔を行ったことがはじまりのようです。

局所麻酔に使われる薬は、1884年以来コカインの使用が20年間続いた後、1904年プロカインが発見されるとコカインからプロカインが使用されようになり、1943年強力な効力を有するリドカインが合成されたことでプロカインからリドカインに取って代わり、今日でもリドカインが局所麻酔薬の標準薬剤としての地位を保ち特に歯科では最も好まれる局所麻酔薬となっています。
ちなみに日本では明治20年頃から局所麻酔が使用されるようになったようです。

歯科での局所麻酔の方法は大きく分けて【表面麻酔法】と【浸潤麻酔法】と【伝達麻酔法】があります。

●表面麻酔法は処置部位の粘膜表面に局所麻酔薬の軟膏やゼリーをトブしたりスプレーを噴霧することで同部の末梢神経を麻痺させる方法です。

●浸潤麻酔法は処置部位に局所麻酔薬を注射し、歯槽粘膜下組織、骨膜付近に分布する神経を麻痺させるとともに、さらに骨表面にみられる骨小孔を介して骨髄内に浸潤、拡散し、骨髄腔を経て歯根膜、歯髄の知覚神経に達して麻酔効果を得る方法です。

●伝達麻酔法は神経走行中の神経幹または神経叢に局所麻酔薬を作用させその末梢の支配領域を麻痺させる方法です。
歯科医師は治療する部位や治療内容によってそれぞれの局所麻酔法を使用して麻酔効果を得ています。

時々『歯の麻酔が効きにくい』ということがあります。
理由としては、痛みに対する不安感の強い方では実際の痛みよりも強い痛みとして感じたり圧覚を痛みとして誤認することがあることや、顎の骨が固く麻酔の注射が浸透しにくいために局所麻酔薬の効果が得られにくい場合があること、歯や歯ぐきの炎症が強いと局所麻酔薬の効果が得られにくい場合があること、治療中に痛みを繰り返すことで痛みに過敏となり局所麻酔効果が得られにくくなる場合があることなどか挙げられます。
歯科治療は強い痛みを伴うことが多く、治療中に痛い思いをしたり不快な思いをしたご経験のある方は多いと思います。

長谷川歯科医院では、できるだけ痛みや不安を感じることなく歯科治療を受けていただけるよう歯科医師をはじめスタッフ一同心がけておりますので、安心してご来院ください。